数学I / 二次関数
2次関数のグラフと頂点(平方完成)
要点整理
2次関数のグラフの形
$y = ax^2 + bx + c$ の形で表される関数を「2次関数」と呼びます。ここで $a, b, c$ は定数(決まった数)で、$a \neq 0$ という条件がつきます。もし $a=0$ になってしまうと $x^2$ の項が消えてしまい、2次関数ではなくなるからです。
2次関数のグラフは「放物線」と呼ばれる、なめらかなカーブを描く曲線になります。ボールを投げたときに空中で描く軌道のような形、とイメージするとわかりやすいです。この放物線の形は、$x^2$ の係数である $a$ の符号(プラスかマイナスか)によって決まります。
- $a>0$ のとき:「下に凸」(グラフがU字型に開く形)の放物線になります。
- $a<0$ のとき:「上に凸」(グラフが逆U字型に開く形)の放物線になります。
そして、この放物線には必ず「頂点」と呼ばれる特別な点があります。頂点とは、下に凸のときはグラフの一番低い点、上に凸のときはグラフの一番高い点のことです。また、頂点を通り $y$ 軸と平行な直線のことを「軸」と呼びます。放物線は、この軸を折り目にして左右がぴったり対称になっています。
頂点がすぐわかる形:頂点形
$y=ax^2+bx+c$ という書き方のままでは、頂点がどの座標にあるのか、式を見ただけではわかりません。そこで、式を次の形に書き換えることを考えます。
$y = a(x-p)^2 + q$
この形を「頂点形」と呼びます。この形に書き換えられていれば、頂点の座標は $(p, q)$ であるとすぐに読み取れます。理由を説明します。$(x-p)^2$ は「2乗」の形なので、$x$ にどんな値を入れても、必ず $0$ 以上の値になります(2乗した数がマイナスになることはありません)。
- $a>0$ のとき:$0$ 以上の数に正の数 $a$ をかけるので、$a(x-p)^2$ もやはり $0$ 以上です。つまり $y=a(x-p)^2+q$ は必ず $q$ 以上の値になります。$y$ がちょうど $q$ になる(最小になる)のは、$(x-p)^2=0$、つまり $x=p$ のときです。よって、グラフが最も低くなる点、つまり頂点は $(p, q)$ です。
- $a<0$ のとき:同じように考えると、$y$ が最大になるのは $x=p$ のときで、そのとき $y=q$ です。グラフが最も高くなる点、つまり頂点はやはり $(p, q)$ です。
このように、$y=ax^2+bx+c$ を $y=a(x-p)^2+q$ の形に変形できれば、頂点の座標 $(p, q)$ と軸の方程式 $x=p$ が一目でわかります。この変形のことを「平方完成」と呼びます。
平方完成のやり方(まず $a=1$ の場合)
例として $y=x^2-4x+1$ を平方完成してみます。以前、展開の公式(乗法公式)を学んだときに、$(x-m)^2=x^2-2mx+m^2$ という展開を確認しました。平方完成では、この公式を逆向きに使います。
まず、$x^2-4x$ の部分だけに注目します。これを $(x-m)^2$ の形に近づけたいので、$-2mx=-4x$ となる $m$ を探すと $m=2$ です。実際に $(x-2)^2$ を展開すると、
$(x-2)^2 = x^2 - 4x + 4$
となります。欲しいのは $x^2-4x$ の部分だけなので、右辺から余分な $+4$ を引いておく必要があります。つまり、
$x^2-4x = (x-2)^2 - 4$
という関係が成り立ちます(右辺を展開すると $x^2-4x+4-4=x^2-4x$ となり、たしかに左辺と一致します)。この関係を使って、もとの式を変形していきます。
$y = x^2-4x+1$
$x^2-4x$ の部分を $(x-2)^2-4$ に置き換えると、
$y = (x-2)^2 - 4 + 1$
定数部分の $-4+1$ を計算すると、
$y = (x-2)^2 - 3$
これで頂点形になりました。$p=2$, $q=-3$ なので、頂点は $(2, -3)$、軸は $x=2$ です。$a=1>0$ なので下に凸のグラフで、頂点 $(2,-3)$ がグラフの一番低い点になります。
平方完成のやり方($a$ が1でない場合)
次に $y=2x^2+8x+5$ のように $x^2$ の係数が1でない場合を考えます。この場合は、まず $x^2$ の項と $x$ の項をまとめて、係数 $a$ でくくり出す(共通因数として外に出す)ことから始めます。
$y = 2x^2+8x+5$
$2x^2+8x$ の部分を $2$ でくくり出すと、
$y = 2(x^2+4x)+5$
(確認: $2(x^2+4x)=2x^2+8x$ なので、正しくくくれています。)
次に、かっこの中の $x^2+4x$ の部分だけを平方完成します。$2m=4$ となる $m$ は $m=2$ で、$(x+2)^2=x^2+4x+4$ なので、
$x^2+4x = (x+2)^2 - 4$
これを代入すると、
$y = 2\left[(x+2)^2-4\right]+5$
かっこの外の $2$ を中に配ります(分配法則)。
$y = 2(x+2)^2 - 8 + 5$
定数部分の $-8+5$ を計算すると、
$y = 2(x+2)^2 - 3$
$(x+2)^2$ は $(x-(-2))^2$ と同じことなので、$p=-2$, $q=-3$ です。頂点は $(-2, -3)$、軸は $x=-2$ です。$a=2>0$ なので下に凸のグラフになります。
一般の $a, b, c$ でも同じ手順が使える
上と全く同じ手順を、数字の代わりに文字 $a, b, c$ のまま行うと、次の関係が得られます。
$y=ax^2+bx+c = a\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2 + \left(c-\frac{b^2}{4a}\right)$
つまり、頂点の座標は次の公式で表せます。
$\left(-\frac{b}{2a},\ c-\frac{b^2}{4a}\right)$
ただし、この公式をそのまま丸暗記するよりも、「$a$ でくくり出してから平方完成する」という手順そのものを身につけておくほうが、いろいろな問題に対応できて実戦的です。この後の例題でも、公式に数字を当てはめるのではなく、手順を1つずつ確認しながら解いていきます。
例題
例題1(基本)
問題
次の2次関数を平方完成し、頂点の座標を求めなさい。
$y = x^2 - 6x + 5$
解答・解説を見る
$x^2-6x$ の部分を平方完成します。$2m=6$ となる $m$ は $m=3$ で、$(x-3)^2=x^2-6x+9$ なので、
$x^2-6x = (x-3)^2-9$
という関係が成り立ちます(右辺を展開すると $x^2-6x+9-9=x^2-6x$ となり、左辺と一致します)。この関係を使って、もとの式を変形します。
$y = x^2-6x+5$
$x^2-6x$ の部分を $(x-3)^2-9$ に置き換えると、
$y = (x-3)^2-9+5$
定数部分の $-9+5$ を計算すると、
$y = (x-3)^2-4$
これで頂点形になりました。$p=3$, $q=-4$ なので、頂点は $(3, -4)$ です。$a=1>0$ なので下に凸のグラフです。
答え:頂点 $(3, -4)$
例題2(標準)
問題
次の2次関数を平方完成し、頂点の座標と軸の方程式を求めなさい。
$y = 3x^2 - 12x + 7$
解答・解説を見る
$x^2$ の係数が $3$ なので、まず $x^2$ の項と $x$ の項を $3$ でくくり出します。
$y = 3x^2-12x+7$
$3x^2-12x$ の部分を $3$ でくくると、
$y = 3(x^2-4x)+7$
(確認: $3(x^2-4x)=3x^2-12x$ なので、正しくくくれています。)
次に、かっこの中の $x^2-4x$ を平方完成します。$2m=4$ となる $m$ は $m=2$ で、$(x-2)^2=x^2-4x+4$ なので、
$x^2-4x = (x-2)^2-4$
これを代入すると、
$y = 3\left[(x-2)^2-4\right]+7$
かっこの外の $3$ を中に配ります。
$y = 3(x-2)^2-12+7$
定数部分の $-12+7$ を計算すると、
$y = 3(x-2)^2-5$
これで頂点形になりました。$p=2$, $q=-5$ なので、頂点は $(2, -5)$、軸は $x=2$ です。$a=3>0$ なので下に凸のグラフです。
答え:頂点 $(2, -5)$、軸 $x=2$
例題3(応用)
問題
2次関数 $y=ax^2+bx+c$ のグラフが点 $(0, 3)$ を通り、頂点が $(2, -1)$ であるとき、$a, b, c$ の値を求めなさい。
解答・解説を見る
ステップ1:頂点形で式を立てる
頂点が $(2, -1)$ とわかっているので、頂点形 $y=a(x-p)^2+q$ に $p=2$, $q=-1$ を当てはめると、
$y = a(x-2)^2-1$
と書けます。まだ $a$ の値がわからないので、この時点では $a$ は文字のままにしておきます。
ステップ2:通る点の座標を代入して $a$ を求める
このグラフは点 $(0, 3)$ を通るので、$x=0$ のとき $y=3$ になるはずです。これを式に代入します。
$3 = a(0-2)^2-1$
かっこの中を計算すると $0-2=-2$ で、$(-2)^2=4$ なので、
$3 = 4a-1$
両辺に $1$ を足すと、
$4 = 4a$
両辺を $4$ で割ると、
$a = 1$
ステップ3:$a$ の値を代入して式を完成させる
$a=1$ を頂点形に戻すと、
$y = (x-2)^2-1$
ステップ4:展開して $a, b, c$ の形にする
$y=ax^2+bx+c$ の形にするために、以前学んだ展開の公式を使って $(x-2)^2$ を展開します。
$(x-2)^2 = x^2-4x+4$
これを代入すると、
$y = x^2-4x+4-1$
定数部分の $4-1$ を計算すると、
$y = x^2-4x+3$
これで $y=ax^2+bx+c$ の形と見比べられます。$x^2$ の係数が $1$、$x$ の係数が $-4$、定数項が $3$ なので、
$a=1,\quad b=-4,\quad c=3$
答え:$a=1$, $b=-4$, $c=3$
練習問題
問題
次の2次関数を平方完成し、頂点の座標、軸の方程式、グラフが上に凸か下に凸かを答えなさい。
$y = -2x^2 + 8x - 3$
答え
$-2x^2+8x$ の部分を $-2$ でくくると $y=-2(x^2-4x)-3$。$x^2-4x=(x-2)^2-4$ を使って変形すると、
$y=-2\left[(x-2)^2-4\right]-3 = -2(x-2)^2+8-3 = -2(x-2)^2+5$
頂点 $(2, 5)$、軸 $x=2$、$a=-2<0$ なので上に凸