数学II / 指数関数・対数関数

対数方程式・不等式

要点整理

前のページで、対数関数 $y=\log_ax$ の単調性(増加・減少)を学びました。このページでは、この性質を使って、対数を含む方程式(対数方程式)や不等式(対数不等式)を解く方法を学びます。

対数方程式・不等式を解くうえで、指数方程式・不等式と決定的に違う、とても大事なポイントが1つあります。それは、真数は必ず正の数でなければならないという制約(真数条件)です。対数方程式・不等式を解くときは、必ず最初に真数条件を書き出し、最後に、求めた解がその条件を満たしているかどうかを確認する必要があります。この確認を忘れると、真数が負になってしまうような、存在しないはずの解を答えに含めてしまう間違いが起こります。

対数方程式の解き方

$\log_aM=\log_aN$($a>0,\ a\neq1$)という形の方程式は、対数関数が単調増加・単調減少のどちらであっても1対1の対応を持つ(同じ値になる真数は1つしかない)ことから、

$\log_aM=\log_aN \iff M=N \qquad (M>0,\ N>0)$

という関係を使って解くことができます。手順をまとめると、次のようになります。

  1. 真数条件($\log$ の中の式がすべて正になる $x$ の範囲)を求める。
  2. 対数の法則を使って、方程式を $\log_a(\text{式})=\log_a(\text{式})$ の形、または $\log_a(\text{式})=(\text{数})$ の形に整理する。
  3. 真数どうしを比べる方程式(またはふつうの方程式)に直して解く。
  4. 求めた解が、ステップ1で求めた真数条件を満たしているか確認し、満たさないものは除外する。

対数不等式の解き方

不等式のときも、真数条件の確認は同じように必要です。そのうえで、底が $1$ より大きいか小さいかによって、不等号の向きが変わるかどうかに注意します(前のページで学んだ単調性の性質そのものです)。

$a>1 \text{ のとき}: \quad \log_aP<\log_aQ \iff P

$0Q \quad (\text{向きが反転する})$

$t=\log_ax$ とおいて2次方程式に帰着させるパターン

$(\log_2x)^2$ のように、対数の2乗を含む方程式は、$t=\log_ax$ とおくことで、$t$ についての2次方程式に直せることがよくあります。このときは、$t$ 自体に符号の制限はありません($\log_ax$ の値域は実数全体だったことを思い出しましょう)が、真数条件($x>0$)は最初にきちんと確認しておく必要があります。

例題

例題1(基本)

問題

方程式 $\log_2(x-1)=3$ を解きなさい。

解答・解説を見る

真数条件を確認する

真数は $x-1$ なので、$x-1>0$、つまり $x>1$ が必要です。

方程式を解く

対数の定義($\log_aM=p \iff a^p=M$)を使って、対数を含まない式に直します。

$x-1 = 2^3$

右辺を計算します。

$x-1=8$

両辺に $1$ を足します。

$x=9$

真数条件の確認

$x=9$ は、真数条件 $x>1$ を満たしています。

したがって、$x=9$ です。

例題2(標準)

問題

方程式 $\log_3(x+2)+\log_3(x-2)=2$ を解きなさい。

解答・解説を見る

真数条件を確認する

真数は $x+2$ と $x-2$ の2つあるので、両方とも正である必要があります。

$x+2>0 \iff x>-2$

$x-2>0 \iff x>2$

この2つを両方満たす範囲は、より厳しい方の条件、つまり $x>2$ です。

方程式を解く

左辺を、積の法則 $\log_aM+\log_aN=\log_a(MN)$ を使って1つの対数にまとめます。

$\log_3\big[(x+2)(x-2)\big]=2$

対数の定義を使って、対数を含まない式に直します。

$(x+2)(x-2)=3^2$

左辺を展開します(和と差の積の公式 $(a+b)(a-b)=a^2-b^2$ を使います)。

$x^2-4=9$

両辺に $4$ を足します。

$x^2=13$

両辺の平方根をとります。

$x=\pm\sqrt{13}$

真数条件の確認

真数条件は $x>2$ でした。$\sqrt{13}$ はおよそ $3.6$ なので、$x=\sqrt{13}$ は $x>2$ を満たしています。一方、$x=-\sqrt{13}$ は負の数なので、$x>2$ を満たしません。したがって、$x=-\sqrt{13}$ は解から除外します。

したがって、$x=\sqrt{13}$ です。

例題3(応用)

問題

不等式 $\log_{1/2}(x-1) \geqq -2$ を解きなさい。

解答・解説を見る

真数条件を確認する

真数は $x-1$ なので、$x-1>0$、つまり $x>1$ が必要です。

不等式を、対数どうしの形にそろえる

右辺の $-2$ を、底 $\dfrac12$ の対数の形に直します。$\left(\dfrac12\right)^{-2}=2^2=4$ なので、$-2=\log_{1/2}4$ と書けます。

$\log_{1/2}(x-1) \geqq \log_{1/2}4$

単調性を使って、真数どうしの不等式に直す

底は $\dfrac12$ で $0<\dfrac12<1$ なので、対数関数 $y=\log_{1/2}x$ は単調減少です。単調減少のときは、不等号の向きが反転することに注意します。

$0

ここで $P=x-1$, $Q=4$ なので、

$x-1 \leqq 4$

両辺に $1$ を足します。

$x \leqq 5$

真数条件と組み合わせる

真数条件は $x>1$ でした。これと $x\leqq5$ を組み合わせると、

$1 < x \leqq 5$

したがって、答えは $1

練習問題

問題

方程式 $(\log_2x)^2-\log_2x-2=0$ を解きなさい。

答え

$x=4$ または $x=\dfrac12$

簡単な解説

真数条件は $x>0$。$t=\log_2x$ とおくと $t^2-t-2=0$ となり、因数分解すると $(t-2)(t+1)=0$ より $t=2$ または $t=-1$。$t=2$ のとき $\log_2x=2$ より $x=4$、$t=-1$ のとき $\log_2x=-1$ より $x=\dfrac12$。どちらも $x>0$ を満たす。