$|\mathrm{PF} - \mathrm{PF'}| = 2a$
を満たす点 $\mathrm{P}$ 全体が描く曲線を双曲線といいます。絶対値がついているのは、$\mathrm{F}$ に近い側の点では $\mathrm{PF'}-\mathrm{PF}=2a$、$\mathrm{F}'$ に近い側の点では $\mathrm{PF}-\mathrm{PF'}=2a$ となり、どちらの場合もまとめて扱うためです。
標準形の方程式の導出
まず、$\mathrm{F}$ に近い側、つまり $\mathrm{PF'}-\mathrm{PF}=2a$ となる場合を考えます。$\mathrm{P}(x,y)$ として、
$\sqrt{(x+c)^2+y^2} - \sqrt{(x-c)^2+y^2} = 2a$
右側の根号を移項します。
$\sqrt{(x+c)^2+y^2} = 2a + \sqrt{(x-c)^2+y^2}$
両辺を2乗します。
$(x+c)^2+y^2 = 4a^2 + 4a\sqrt{(x-c)^2+y^2} + (x-c)^2+y^2$
両辺から $y^2$ と $(x-c)^2$ を引きます。楕円のときと同じ計算により、左辺は $(x+c)^2-(x-c)^2=4cx$ となるので、
$4cx = 4a^2 + 4a\sqrt{(x-c)^2+y^2}$
両辺を $4$ で割ります。
$cx = a^2 + a\sqrt{(x-c)^2+y^2}$
根号の項を左辺に残すように整理します。
$cx - a^2 = a\sqrt{(x-c)^2+y^2}$
もう一度両辺を2乗します。
$(cx-a^2)^2 = a^2\left[(x-c)^2+y^2\right]$
左辺を展開します。
$c^2x^2 - 2a^2cx + a^4 = a^2x^2 - 2a^2cx + a^2c^2 + a^2y^2$
両辺の $-2a^2cx$ を消します。
$c^2x^2+a^4 = a^2x^2+a^2c^2+a^2y^2$
$x^2$ の項をまとめるため、両辺から $a^2x^2$ を、$y^2$ の項を右辺に残すため両辺から $a^2c^2$ を引きます。
$c^2x^2-a^2x^2-a^2y^2 = a^2c^2-a^4$
左辺を $x^2$ でくくり、右辺を $a^2$ でくくります。
$(c^2-a^2)x^2 - a^2y^2 = a^2(c^2-a^2)$
ここで $c>a>0$ なので $c^2-a^2>0$ です。この正の値を $b^2$ とおきます(楕円のときの $b^2=a^2-c^2$ とは引き算の順番が逆になる点に注意しましょう)。
$b^2 = c^2-a^2 \quad (b>0)$
代入すると、
$b^2x^2-a^2y^2 = a^2b^2$
両辺を $a^2b^2$ で割ります。
$\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1$
これが双曲線の標準形です。($\mathrm{F}'$ に近い側、$\mathrm{PF}-\mathrm{PF'}=2a$ の場合も、同様の計算でまったく同じ方程式が得られます。)
先ほどの計算からわかるように、楕円では $b^2=a^2-c^2$($c^2=a^2-b^2$)でしたが、双曲線では $b^2=c^2-a^2$、つまり
$c^2 = a^2+b^2$
という関係になります。符号の違いに注意してください。
標準形のグラフの特徴
$\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=1$ のグラフについて確認します。
- $y=0$ とすると $x=\pm a$ となるので、点 $(\pm a, 0)$ を通ります(これを頂点と呼びます)。$x=0$ とすると $-\dfrac{y^2}{b^2}=1$ となり、これを満たす実数 $y$ は存在しません。つまり、$y$ 軸とは交わりません。
- $\dfrac{x^2}{a^2} = 1+\dfrac{y^2}{b^2} \geq 1$ なので $x^2 \geq a^2$、すなわち $x\geq a$ または $x\leq -a$ です。曲線は2つに分かれ、それぞれ右側・左側に伸びていきます(これを2つの枝と呼びます)。
- $x$ 軸、$y$ 軸、原点のいずれに関しても対称です。
漸近線
双曲線には、漸近線と呼ばれる2本の直線があります。方程式を $y$ について解いてみましょう。$\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=1$ を変形すると、
$\frac{y^2}{b^2} = \frac{x^2}{a^2}-1$
$y^2 = b^2\left(\frac{x^2}{a^2}-1\right) = \frac{b^2}{a^2}(x^2-a^2)$
$y = \pm\frac{b}{a}\sqrt{x^2-a^2}$
ここで、$\sqrt{x^2-a^2}$ を次のように書きかえます。
$\sqrt{x^2-a^2} = \sqrt{x^2\left(1-\frac{a^2}{x^2}\right)} = |x|\sqrt{1-\frac{a^2}{x^2}}$
$x$ の絶対値がとても大きくなると、$\dfrac{a^2}{x^2}$ は $0$ に限りなく近づくので、$\sqrt{1-\dfrac{a^2}{x^2}}$ は $1$ に限りなく近づきます。したがって、$x$ の絶対値が大きいところでは、
$y \approx \pm\frac{b}{a}|x|$
すなわち、曲線は直線 $y=\dfrac{b}{a}x$ と $y=-\dfrac{b}{a}x$ に限りなく近づいていきます。この2本の直線を、この双曲線の漸近線といいます。
$y = \pm\frac{b}{a}x$
漸近線は、原点を中心とした縦 $2b$、横 $2a$ の長方形の対角線を延長した直線になっており、双曲線のグラフをかくときの目印として役立ちます。
なお、焦点が $y$ 軸上にある(縦向きに開く)双曲線の標準形は、
$\frac{y^2}{a^2}-\frac{x^2}{b^2}=1$
で、頂点は $(0,\pm a)$、焦点は $(0,\pm c)$($c^2=a^2+b^2$)、漸近線は $y=\pm\dfrac{a}{b}x$ です。
例題
例題1(基本)
問題
双曲線 $\dfrac{x^2}{9}-\dfrac{y^2}{16}=1$ の頂点、焦点の座標、漸近線の方程式を求めなさい。
解答・解説を見る
標準形と見比えます。
$a^2=9, \qquad b^2=16$
$a>0$、$b>0$ なので $a=3$、$b=4$ です。頂点は $(\pm a, 0)$ なので、
$(3, 0), \quad (-3, 0)$
焦点までの距離は $c^2=a^2+b^2$ で求めます。
$c^2 = 9+16 = 25$
$c = 5$
漸近線は $y=\pm\dfrac{b}{a}x$ なので、
答え: 頂点 $(3,0)$、$(-3,0)$。焦点 $(5,0)$、$(-5,0)$。漸近線 $y=\pm\dfrac{4}{3}x$
例題2(標準)
問題
2点 $(0, 5)$、$(0, -5)$ を焦点とし、焦点までの距離の差が $6$ である双曲線の方程式を求めなさい。
解答・解説を見る
焦点が $y$ 軸上にあるので、この双曲線は縦向き(標準形 $\dfrac{y^2}{a^2}-\dfrac{x^2}{b^2}=1$)です。焦点までの距離の差が $2a=6$ なので、
$a = 3$
焦点の座標から $c=5$ です。$c^2=a^2+b^2$ の関係を使って $b^2$ を求めます。
$b^2 = c^2-a^2 = 5^2-3^2 = 25-9 = 16$
標準形に代入します。$a^2=9$、$b^2=16$ なので、
答え: $\dfrac{y^2}{9}-\dfrac{x^2}{16}=1$
例題3(応用)
問題
双曲線 $\dfrac{x^2}{16}-\dfrac{y^2}{9}=1$ の焦点を $\mathrm{F}(5,0)$、$\mathrm{F}'(-5,0)$ とする。頂点 $(4,0)$ を含む方の枝(すなわち $\mathrm{F}$ に近い方の枝)の上にある点 $\mathrm{P}$ について、$\mathrm{PF}=10$ であるとき、$\mathrm{PF'}$ を求めなさい。
解答・解説を見る
まず、標準形と見比べて $a^2=16$、$b^2=9$ より $a=4$、$b=3$ です。$c^2=a^2+b^2=16+9=25$ より $c=5$ となり、確かに焦点は $(\pm5,0)$ と一致します。
点 $\mathrm{P}$ は $\mathrm{F}$ に近い方の枝の上にあるので、$\mathrm{F}$ までの距離の方が $\mathrm{F}'$ までの距離より短くなります。双曲線の定義より、
$\mathrm{PF'} - \mathrm{PF} = 2a$
$2a = 2\times4=8$ なので、
$\mathrm{PF'} - \mathrm{PF} = 8$
$\mathrm{PF}=10$ を代入します。
$\mathrm{PF'} - 10 = 8$
両辺に $10$ を加えます。
$\mathrm{PF'} = 18$
答え: $\mathrm{PF'} = 18$
練習問題
問題1
双曲線 $\dfrac{y^2}{4}-\dfrac{x^2}{12}=1$ の頂点、焦点の座標、漸近線の方程式を求めなさい。
答え
頂点 $(0,2)$、$(0,-2)$。焦点 $(0,4)$、$(0,-4)$。漸近線 $y=\pm\dfrac{\sqrt{3}}{3}x$
(解説: $a^2=4$、$b^2=12$ より $a=2$、$b=2\sqrt{3}$。$c^2=4+12=16$ より $c=4$。この形は $\dfrac{y^2}{a^2}-\dfrac{x^2}{b^2}=1$ なので漸近線は $y=\pm\dfrac{a}{b}x = \pm\dfrac{2}{2\sqrt{3}}x = \pm\dfrac{1}{\sqrt{3}}x = \pm\dfrac{\sqrt{3}}{3}x$。)
問題2
2点 $(13,0)$、$(-13,0)$ を焦点とし、頂点が $(5,0)$、$(-5,0)$ である双曲線の方程式を求めなさい。
答え
$\dfrac{x^2}{25}-\dfrac{y^2}{144}=1$
(解説: $a=5$、$c=13$ なので $b^2=c^2-a^2=169-25=144$。)
問題3
双曲線 $\dfrac{x^2}{9}-\dfrac{y^2}{16}=1$ の焦点を $\mathrm{F}(5,0)$、$\mathrm{F}'(-5,0)$ とする。頂点 $(3,0)$ を含む方の枝の上にある点 $\mathrm{P}$ について、$\mathrm{PF}=7$ であるとき、$\mathrm{PF'}$ を求めなさい。
答え
$13$
(解説: $a=3$ より $2a=6$。$\mathrm{PF'}-\mathrm{PF}=6$ なので $\mathrm{PF'}=7+6=13$。)