数学C

共通テスト対策

この科目の共通テストでの傾向

数学Cは、大学入学共通テストにおいて、ベクトルと「平面上の曲線と複素数平面」という2つの単元から大問が出題される科目です。過去の数学II・数学Bの共通テストの傾向を踏まえると、次のような特徴が見られます。

  • 誘導形式の空欄補充が中心: 問題文の中に空欄があり、その空欄を順番に埋めていく形式がほとんどです。前の空欄で求めた結果を、後の空欄の計算に使うことが多いため、途中でつまずくとそのあとの問題もすべて解けなくなってしまいます。1つ1つの計算を確実に行うことが何より大切です。
  • 図や状況設定の読み取り: グラフや図形、あるいは身近な場面(建築、天体の軌道、地図上の位置関係など)を題材にした文章から、必要な情報を数式に翻訳する力が問われます。公式を当てはめる前に、「今、何がわかっていて、何を求めればよいのか」を図に描いて整理する習慣が役立ちます。
  • 定義に立ち返る問題が多い: 単に公式を覚えているだけでなく、「なぜその公式が成り立つのか」という定義や導出過程の理解を問う設問が、誘導の中に組み込まれることがあります。
  • 会話文・レポート形式: 生徒どうしの会話や、レポートのような形式で、複数の考え方を比較させたり、一般化を促したりする問題が出題されることもあります。

単元別の対策ポイント

ベクトル

  • 内積の成分計算、垂直条件、なす角の求め方は、計算のスピードと正確さの両方が求められます。特に符号のミスは命取りになるので、練習量を増やして体に染み込ませましょう。
  • 位置ベクトルの内分点・外分点・重心の公式は、単独で問われるだけでなく、図形の性質を証明する問題の土台としても頻繁に使われます。
  • 一次独立と係数比較を使った交点の位置ベクトルを求める問題は、誘導形式と非常に相性がよく、頻出です。2本の直線上にあるという条件をそれぞれ式にし、係数を比較する、という手順を素早く実行できるようにしておきましょう。
  • 空間ベクトルでは、平面の方程式や球面の方程式を、法線ベクトルや中心・半径から機械的に作れるようにしておくことが大切です。

平面上の曲線と複素数平面

  • 放物線・楕円・双曲線については、標準形の方程式から焦点・準線・漸近線をすぐに読み取れるようにしておきましょう。特に、楕円は $c^2=a^2-b^2$、双曲線は $c^2=a^2+b^2$ と、符号が逆になる点は繰り返し確認しておく価値があります。
  • 曲線の定義(距離の性質)を使うと、座標を求めずに焦点までの距離を計算できる場合が多いので、この考え方をまず疑ってみる癖をつけましょう。
  • 媒介変数表示・極座標は、変換の道具($\cos^2\theta+\sin^2\theta=1$、$x=r\cos\theta$、$y=r\sin\theta$、$r^2=x^2+y^2$)を正確に使いこなせるかがポイントです。
  • 複素数平面は、ベクトルとの類似点(和・差・内分点の公式が同じ形)と、複素数特有の性質(掛け算が回転を表す、共線・垂直条件が実数・純虚数で判定できる)の両方を整理して理解しておくと、応用問題に対応しやすくなります。

実戦問題

実戦問題1

問題

座標平面上に3点 $\mathrm{O}(0,0)$、$\mathrm{A}(4,2)$、$\mathrm{B}(1,3)$ がある。四角形 $\mathrm{OACB}$ が平行四辺形となるように点 $\mathrm{C}$ をとるとき、$\mathrm{C}$ の座標を求めなさい。また、$\overrightarrow{\mathrm{OA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OB}}$ を求め、$\cos\angle\mathrm{AOB}$ の値を求めなさい。

解答・解説を見る

$\mathrm{C}$ の座標

四角形 $\mathrm{OACB}$ が平行四辺形になるとき、頂点は $\mathrm{O}\to\mathrm{A}\to\mathrm{C}\to\mathrm{B}$ の順に並びます。このとき、$\mathrm{O}$ と $\mathrm{C}$ は向かい合う頂点(対角線の両端)なので、対角線 $\overrightarrow{\mathrm{OC}}$ は、2辺 $\overrightarrow{\mathrm{OA}}$、$\overrightarrow{\mathrm{OB}}$ の和になります。

$\overrightarrow{\mathrm{OC}} = \overrightarrow{\mathrm{OA}}+\overrightarrow{\mathrm{OB}} = (4,2)+(1,3) = (5,5)$

したがって、$\mathrm{C}(5,5)$ です。

内積となす角

内積の成分公式に代入します。

$\overrightarrow{\mathrm{OA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OB}} = 4\times1+2\times3 = 4+6 = 10$

$|\overrightarrow{\mathrm{OA}}|$、$|\overrightarrow{\mathrm{OB}}|$ を求めます。

$|\overrightarrow{\mathrm{OA}}| = \sqrt{4^2+2^2} = \sqrt{16+4} = \sqrt{20} = 2\sqrt{5}$

$|\overrightarrow{\mathrm{OB}}| = \sqrt{1^2+3^2} = \sqrt{1+9} = \sqrt{10}$

なす角の公式に代入します。

$\cos\angle\mathrm{AOB} = \frac{\overrightarrow{\mathrm{OA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OB}}}{|\overrightarrow{\mathrm{OA}}||\overrightarrow{\mathrm{OB}}|} = \frac{10}{2\sqrt{5}\times\sqrt{10}} = \frac{10}{2\sqrt{50}}$

$\sqrt{50}=5\sqrt{2}$ なので、

$\cos\angle\mathrm{AOB} = \frac{10}{2\times5\sqrt{2}} = \frac{10}{10\sqrt{2}} = \frac{1}{\sqrt{2}} = \frac{\sqrt{2}}{2}$

答え: $\mathrm{C}(5,5)$、$\overrightarrow{\mathrm{OA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OB}}=10$、$\cos\angle\mathrm{AOB}=\dfrac{\sqrt{2}}{2}$(この角は $45^\circ$ です)

実戦問題2

問題

ある人工衛星は、地球の中心にあたる点 $\mathrm{F}$ を1つの焦点とする楕円軌道を描いている。この軌道の長軸の長さが $10000\,\mathrm{km}$、短軸の長さが $8000\,\mathrm{km}$ であるとき、もう一方の焦点を $\mathrm{F}'$ とする。軌道上のある地点 $\mathrm{P}$ から $\mathrm{F}$ までの距離が $6000\,\mathrm{km}$ であるとき、$\mathrm{P}$ から $\mathrm{F}'$ までの距離を求めなさい。

解答・解説を見る

長軸の長さが $10000\,\mathrm{km}$ なので、楕円の定義で使う定数 $a$(長軸の半分)は、

$a = \frac{10000}{2} = 5000$

楕円の定義より、軌道上のどの点からも、2つの焦点までの距離の和は $2a$ で一定です。

$\mathrm{PF}+\mathrm{PF'} = 2a = 2\times5000 = 10000$

$\mathrm{PF}=6000$ が与えられているので、この式に代入します。

$6000+\mathrm{PF'} = 10000$

両辺から $6000$ を引きます。

$\mathrm{PF'} = 4000$

答え: $4000\,\mathrm{km}$

(補足: この問題では、短軸の長さ $8000\,\mathrm{km}$ の情報は、実は $\mathrm{PF'}$ を求めるためには使いませんでした。楕円の定義である「距離の和が一定」という性質さえ使えば、$b$ の値を経由せずに答えが求められる、というのがこの問題のポイントです。)

実戦問題3

問題

複素数 $z=2+2i$ を、原点を中心として $60^\circ$ 回転させた点を $w$ とする。$w$ を求め、$|w|$ を計算して $|z|$ と比較しなさい。

解答・解説を見る

原点中心の $60^\circ$ 回転は、$\cos60^\circ+i\sin60^\circ$ を掛け算することで表せます。$\cos60^\circ=\dfrac{1}{2}$、$\sin60^\circ=\dfrac{\sqrt{3}}{2}$ なので、

$w = z\times\left(\cos60^\circ+i\sin60^\circ\right) = (2+2i)\left(\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i\right)$

かっこを展開します。

$w = 2\times\frac{1}{2} + 2\times\frac{\sqrt{3}}{2}i + 2i\times\frac{1}{2} + 2i\times\frac{\sqrt{3}}{2}i$

$= 1 + \sqrt{3}i + i + \sqrt{3}i^2$

$i^2=-1$ なので $\sqrt{3}i^2=-\sqrt{3}$ です。

$w = 1+\sqrt{3}i+i-\sqrt{3} = (1-\sqrt{3})+(\sqrt{3}+1)i$

次に $|w|$ を計算します。

$|w| = \sqrt{(1-\sqrt{3})^2+(\sqrt{3}+1)^2}$

$(1-\sqrt{3})^2$ を展開します。

$(1-\sqrt{3})^2 = 1-2\sqrt{3}+3 = 4-2\sqrt{3}$

$(\sqrt{3}+1)^2$ を展開します。

$(\sqrt{3}+1)^2 = 3+2\sqrt{3}+1 = 4+2\sqrt{3}$

これらを足すと、$-2\sqrt{3}$ と $+2\sqrt{3}$ が打ち消し合います。

$(4-2\sqrt{3})+(4+2\sqrt{3}) = 8$

$|w| = \sqrt{8} = 2\sqrt{2}$

一方、$|z|$ を計算すると、

$|z| = \sqrt{2^2+2^2} = \sqrt{8} = 2\sqrt{2}$

答え: $w=(1-\sqrt{3})+(\sqrt{3}+1)i$、$|w|=2\sqrt{2}$ で、$|z|=2\sqrt{2}$ と一致する。

(補足: 回転は原点からの距離を変えない操作なので、$|w|=|z|$ となるのは当然の結果です。このように、計算結果が図形的な意味と矛盾しないかを確認することは、ミスを見つける良い検算方法になります。)