数学A

共通テスト対策

この科目の共通テストでの傾向

数学Aは、単独の科目としてではなく、「数学I」と合わせて1つの試験(数学I・数学A)として出題されます。試験時間は70分で、数学Iの内容と数学Aの内容の両方を、この1回の試験の中で解くことになります。

数学Aには、「図形の性質」「場合の数と確率」「数学と人間の活動(整数の性質)」という3つの単元があります。共通テストでは、これらの単元すべてを解答するのではなく、いくつかの大問(だいもん。1つの問題全体のまとまりのことです)の中から、指定された数だけを選んで解答する形式がとられています。どの単元が必答(ひっとう。必ず解答しなければならないという意味です)で、どの単元が選択(自分でどれを解くか選べるという意味です)になるかは年度によって変更されることがあるため、実際に受験する年度の大学入試センターの発表を必ず確認するようにしてください。ただし、どの年度であっても、次のような特徴は共通しています。

  • 問題文が長く、誘導形式(ゆうどうけいしき。(1)、(2)、(3)と小問が並び、前の小問で求めた結果を次の小問で使う形式のことです)になっている
  • 図形の性質や整数の性質では、その場で定理の使い方や考え方の手順を確認させながら解かせる問題が出やすい
  • 場合の数と確率では、サイコロ・カード・玉などの具体的な設定の中で、「なぜその数え方でよいのか」という根拠を問われることが多い

時間配分としては、数学Iの内容と合わせて70分しかないため、数学Aの1つの大問には15分前後しかかけられないと考えておくとよいでしょう。誘導の途中の小問でつまずいても、そこで手を止めてしまわず、最後まで目を通して、解けそうな小問から確実に得点していく姿勢が大切です。

単元別の対策ポイント

図形の性質

  • 図を自分の手でかき直す習慣をつけましょう。問題文についている図だけで考えようとせず、わかっている角度や辺の長さを書き込んだ、自分用の図を作ることが理解の近道です。
  • 三角形の重心・内心・外心について、それぞれがどんな線(重心なら中線、内心なら角の二等分線、外心なら垂直二等分線)の交点なのかを、名前とセットで覚えておきましょう。
  • チェバの定理・メネラウスの定理は、比の値を求める問題として単独で出題されることが多いので、公式に数値を当てはめる練習を繰り返しておきましょう。
  • 円に関する性質(円周角の定理、円に内接する四角形、円と接線、方べきの定理)は、1つの図の中に複数の性質が同時に使われている問題として出やすいので、性質どうしを組み合わせて使う練習をしておきましょう。
  • 空間図形は、正四面体や立方体など、決まった形の中で角度や辺の比を求めるパターンをいくつか経験しておくと安心です。

場合の数と確率

  • 「何を区別して数えるか」を最初に必ず決めましょう。区別する・しないを勘違いすると、答えがすべて変わってしまいます。
  • 反復試行の確率(同じ条件の試行を何回か繰り返したときの確率)は、公式の形だけを丸暗記するのではなく、「どの回に何が起こるかの選び方」と「それぞれの回の確率」の2つに分けて考える習慣をつけましょう。
  • 条件付き確率は、「すでに起きたとわかっていること」と「これから求めたいこと」を樹形図や表に整理してから式を立てると、ミスが減ります。
  • 期待値の計算は、「値」と「その値が起こる確率」を並べた表を作り、「値 × 確率」を1つずつ計算してから合計する、という手順を崩さないようにしましょう。
  • 誘導形式の問題では、(1)で求めた場合の数や確率を(2)以降でそのまま使うことが多いので、前の小問の答えを書き残しておくようにしましょう。

数学と人間の活動(整数の性質)

  • 約数・倍数、最大公約数・最小公倍数の基本計算を、暗算に近いスピードでできるようにしておきましょう。
  • ユークリッドの互除法の手順(大きい数を小さい数で割り、その余りでさらに割る、という操作を余りが0になるまで繰り返す方法です)を、途中式を省略せずに書けるようにしておきましょう。
  • 1次不定方程式は、「ユークリッドの互除法を逆にたどって1つの解を見つける」→「そこから整数kを使った一般解(すべての整数解をまとめて表した式)を作る」という2段階の流れを、型として身につけておきましょう。
  • n進法は、10進法との変換のルール(位ごとに何を掛けるか)を、実際に数字を当てはめて確認する練習をしておきましょう。
  • 整数問題は、図形や方程式と組み合わされた融合問題として出題されることもあるため、「範囲をしぼりこんでから候補を1つずつ調べる」といった絞り込み方の引き出しを増やしておきましょう。

実戦問題

実戦問題1

問題

袋の中に赤球3個、白球2個の合計5個の球が入っている。この袋から球を1個取り出して色を確認し、袋に戻すという試行を3回繰り返す。

(1) 3回とも同じ色の球が出る確率を求めよ。 (2) 赤球がちょうど2回出る確率を求めよ。 (3) 3回のうち少なくとも1回は赤球が出たことがわかっているとき、3回とも赤球であった条件付き確率を求めよ。

解答・解説を見る

まず、この試行の基本的な確率を確認します。袋の中は赤球3個、白球2個の合計5個なので、

$ 1回で赤球が出る確率 = \frac{3}{5}, \qquad 1回で白球が出る確率 = \frac{2}{5} $

です。球を取り出すたびに袋に戻しているので、毎回まったく同じ条件で球を取り出すことになります。このように、同じ条件の試行を、1回の結果が他の回に影響しないように繰り返すことを「反復試行」といいます。

(1)の解説

3回とも同じ色になるのは、「3回とも赤球」の場合と「3回とも白球」の場合の2通りがあります。この2つは同時には起こらない(このことを「排反である」といいます)ので、それぞれの確率をそのまま足し合わせることができます。

3回とも赤球である確率は、

$ \left(\frac{3}{5}\right)^3 = \frac{3\times3\times3}{5\times5\times5} = \frac{27}{125} $

3回とも白球である確率は、

$ \left(\frac{2}{5}\right)^3 = \frac{2\times2\times2}{5\times5\times5} = \frac{8}{125} $

したがって、3回とも同じ色になる確率は、

$ \frac{27}{125} + \frac{8}{125} = \frac{35}{125} = \frac{7}{25} $

(2)の解説

3回の試行のうち、ちょうど2回だけ赤球が出るという事象(じしょう。ある結果が起こることを指す数学の言葉です)を考えます。まず、3回のうちどの2回が赤球になるかの選び方を考えます。これは「3回の中から順番を気にせず2回を選ぶ」場合の数なので、$\binom{3}{2}$ という記号で表します。$\binom{n}{r}$ は「n個の中から順番を気にせずr個を選ぶときの選び方の数」を表す記号で、

$ \binom{3}{2} = 3 $

です(実際に、1回目と2回目が赤、1回目と3回目が赤、2回目と3回目が赤、の3通りがあります)。

赤球が出る2回それぞれの確率は $\frac{3}{5}$、残りの白球が出る1回の確率は $\frac{2}{5}$ なので、赤球がちょうど2回出る確率は、

$ \binom{3}{2} \left(\frac{3}{5}\right)^2 \left(\frac{2}{5}\right)^1 = 3 \times \frac{9}{25} \times \frac{2}{5} = 3 \times \frac{18}{125} = \frac{54}{125} $

(3)の解説

「3回のうち少なくとも1回は赤球が出た」という条件のもとで、「3回とも赤球であった」確率を求める問題です。このように、ある事象が起きたという条件のもとで、別の事象が起きる確率を「条件付き確率」といいます。事象Aが起きたという条件のもとで事象Bが起きる条件付き確率を $P(B \mid A)$ と書き、次の式で計算します。

$ P(B \mid A) = \frac{P(A \cap B)}{P(A)} $

ここで $A \cap B$ は「事象Aと事象Bが同時に起こること」を表す記号です。

今回、事象Aを「少なくとも1回は赤球が出る」、事象Bを「3回とも赤球である」とします。「3回とも赤球である」ならば当然「少なくとも1回は赤球が出ている」といえるので、$A \cap B$ は結局「3回とも赤球である」という事象と同じものになります。

まず $P(A)$、つまり「少なくとも1回は赤球が出る確率」を求めます。「少なくとも1回は赤球が出る」ことの反対の事象(これを「余事象」といいます)は、「1回も赤球が出ない」、すなわち「3回とも白球である」ことです。余事象の確率は、全体の確率である1から引くことで求められるので、

$ P(A) = 1 - \left(\frac{2}{5}\right)^3 = 1 - \frac{8}{125} = \frac{117}{125} $

次に、$P(A \cap B)$、つまり「3回とも赤球である確率」は、(1)ですでに求めたように、

$ P(A \cap B) = \left(\frac{3}{5}\right)^3 = \frac{27}{125} $

です。したがって、求める条件付き確率は、

$ P(B \mid A) = \frac{P(A \cap B)}{P(A)} = \frac{\frac{27}{125}}{\frac{117}{125}} = \frac{27}{117} $

最後に、この分数を約分します。27と117の最大公約数は9なので、

$ \frac{27}{117} = \frac{27 \div 9}{117 \div 9} = \frac{3}{13} $

よって、求める条件付き確率は $\frac{3}{13}$ です。

実戦問題2

問題

三角形ABCがあり、辺BC上に点D、辺CA上に点E、辺AB上に点Fをとる。$BD:DC=2:3$、$CE:EA=4:1$ であり、3本の直線AD、BE、CFはすべて1つの点で交わっているとする。

(1) チェバの定理を用いて、$AF:FB$ を求めよ。 (2) $AB=11$ であるとき、線分AFの長さを求めよ。

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チェバの定理の確認

まず、この問題で使う「チェバの定理」を確認します。三角形ABCの辺BC、CA、AB上(またはその延長上)にそれぞれ点D、E、Fがあるとき、3本の直線AD、BE、CFが1つの点で交わるならば、次の等式が成り立ちます。

$ \frac{BD}{DC} \times \frac{CE}{EA} \times \frac{AF}{FB} = 1 $

この式は、頂点Bから出発して、辺上の点をB→D→C→E→A→F→Bの順にたどりながら、通った線分の長さの比をかけ合わせると1になる、という定理です。

(1)の解説

問題文より、$BD:DC=2:3$ なので、

$ \frac{BD}{DC} = \frac{2}{3} $

また、$CE:EA=4:1$ なので、

$ \frac{CE}{EA} = \frac{4}{1} = 4 $

これらをチェバの定理の式に代入すると、

$ \frac{2}{3} \times 4 \times \frac{AF}{FB} = 1 $

左辺の $\frac{2}{3} \times 4$ を先に計算すると、

$ \frac{2}{3} \times 4 = \frac{8}{3} $

なので、

$ \frac{8}{3} \times \frac{AF}{FB} = 1 $

両辺に $\frac{3}{8}$ をかけると、左辺は

$ \frac{3}{8} \times \frac{8}{3} \times \frac{AF}{FB} = 1 \times \frac{AF}{FB} = \frac{AF}{FB} $

となり($\frac{3}{8} \times \frac{8}{3}=1$ だからです)、右辺は

$ \frac{3}{8} \times 1 = \frac{3}{8} $

となるので、

$ \frac{AF}{FB} = \frac{3}{8} $

よって、$AF:FB = 3:8$ です。

(2)の解説

点Fは辺AB上にあるので、線分AFと線分FBを合わせるとちょうど線分ABになります。つまり、

$ AF + FB = AB $

という関係が成り立ちます。$AF:FB=3:8$ ということは、線分ABを $3+8=11$ 個の等しい部分に分けたとき、AFがそのうちの3個分、FBが8個分にあたる、という意味です。

$AB=11$ なので、ABを11等分したときの1個分の長さは、

$ 11 \div 11 = 1 $

です。したがって、AFはその3個分なので、

$ AF = 1 \times 3 = 3 $

よって、線分AFの長さは $3$ です。

実戦問題3

問題

1次不定方程式

$ 7x - 5y = 3 \qquad \cdots (*) $

の整数解について、次の問いに答えよ。

(1) ユークリッドの互除法の考え方を用いて、()を満たす整数x, yの組を1つ見つけよ。 (2) (1)で見つけた解を用いて、()のすべての整数解を、整数kを用いて表せ。 (3) (2)の結果を用いて、x, yがともに2桁の正の整数(10以上99以下の整数)となる解のうち、xが最も小さくなるものを求めよ。

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(1)の解説

ユークリッドの互除法とは、2つの整数の最大公約数を求めるために、大きい方の数を小さい方の数で割り、その余りでさらに割る、という操作を、余りが0になるまで繰り返す方法です。まず、7と5にこの方法を使ってみます。

$ 7 = 1 \times 5 + 2 $

$ 5 = 2 \times 2 + 1 $

$ 2 = 2 \times 1 + 0 $

余りが0になったときの割る数が最大公約数なので、7と5の最大公約数は1です。()の右辺の3は、この最大公約数1の倍数になっている(どんな整数も1の倍数です)ので、()には整数解が存在することがわかります。

次に、上の計算を逆にたどって、$7 \times (\text{整数}) - 5 \times (\text{整数}) = 1$ の形を作ります。

1つ目の式 $5 = 2 \times 2 + 1$ を、余りの2について解くと、

$ 1 = 5 - 2 \times 2 $

になります。ここに出てくる「2」を、2つ目の式(1番上の式)$7 = 1 \times 5 + 2$ を余りの2について解いた

$ 2 = 7 - 1 \times 5 $

という式で置きかえます。すると、

$ 1 = 5 - 2 \times (7 - 1 \times 5) $

となります。右辺のかっこを外すと、

$ 1 = 5 - 2 \times 7 + 2 \times 5 $

5がついている項どうしをまとめると、

$ 1 = (1+2) \times 5 - 2 \times 7 = 3 \times 5 - 2 \times 7 $

これを $7x - 5y = 1$ の形に合わせて書き直すと、

$ 7 \times (-2) - 5 \times (-3) = 1 $

という等式が得られます。これは、$x=-2$, $y=-3$ が方程式 $7x-5y=1$ の1つの整数解であることを示しています。

(*)の右辺は3なので、この等式の両辺を3倍します。

$ 7 \times (-2 \times 3) - 5 \times (-3 \times 3) = 1 \times 3 $

$ 7 \times (-6) - 5 \times (-9) = 3 $

したがって、$x=-6$, $y=-9$ が(*)の1つの整数解です。実際に確かめると、

$ 7 \times (-6) - 5 \times (-9) = -42 - (-45) = -42+45 = 3 $

となり、確かに(*)を満たしています。

(2)の解説

(*)の式と、(1)で見つけた解が満たす式

$ 7x - 5y = 3 $

$ 7 \times (-6) - 5 \times (-9) = 3 $

を並べて、上の式から下の式を引き算します。右辺は $3-3=0$ になるので、

$ 7\{x-(-6)\} - 5\{y-(-9)\} = 0 $

すなわち、

$ 7(x+6) - 5(y+9) = 0 $

移項すると、

$ 7(x+6) = 5(y+9) $

という等式が得られます。この式は「7に $(x+6)$ をかけた数」と「5に $(y+9)$ をかけた数」が等しいことを表しています。7と5は最大公約数が1(このことを「互いに素である」といいます)なので、右辺の $5(y+9)$ が7の倍数になるためには、$(y+9)$ の部分ではなく $(x+6)$ の部分が5の倍数でなければなりません。そこで、$(x+6)$ を整数kを用いて、

$ x+6 = 5k $

と表します。これを $7(x+6)=5(y+9)$ に代入すると、

$ 7 \times 5k = 5(y+9) $

両辺を5で割ると、

$ 7k = y+9 $

よって、$x$ と $y$ について整理すると、

$ x = 5k-6, \qquad y = 7k-9 \qquad (kは整数) $

が、(*)のすべての整数解を表す式になります。

(3)の解説

xとyがともに2桁の正の整数、つまりどちらも10以上99以下になるようなkの範囲を求めます。

まず、xについての条件 $10 \leq x \leq 99$ に $x=5k-6$ を代入すると、

$ 10 \leq 5k-6 \leq 99 $

各辺に6を足すと、

$ 16 \leq 5k \leq 105 $

各辺を5で割ると、

$ 3.2 \leq k \leq 21 $

kは整数なので、この範囲を満たす整数は $k=4, 5, 6, \ldots, 21$ です。

次に、yについての条件 $10 \leq y \leq 99$ に $y=7k-9$ を代入すると、

$ 10 \leq 7k-9 \leq 99 $

各辺に9を足すと、

$ 19 \leq 7k \leq 108 $

各辺を7で割ると、

$ 2.71\ldots \leq k \leq 15.42\ldots $

kは整数なので、この範囲を満たす整数は $k=3, 4, 5, \ldots, 15$ です。

xとyの両方の条件を同時に満たすには、2つの範囲の共通部分を考える必要があります。xの条件からは $k \geq 4$、yの条件からは $k \geq 3$ なので、下側はより厳しい(範囲が狭い)方である $k \geq 4$ が採用されます。同様に、上側は $k \leq 21$ と $k \leq 15$ のうち、より厳しい $k \leq 15$ が採用されます。したがって、共通の範囲は、

$ 4 \leq k \leq 15 $

です。

$x=5k-6$ はkが大きくなるほどxも大きくなる式なので、xが最も小さくなるのは、この範囲で最も小さいkの値、つまり $k=4$ のときです。$k=4$ を代入すると、

$ x = 5\times 4 - 6 = 20-6 = 14 $

$ y = 7\times 4 - 9 = 28-9 = 19 $

よって、求める解は $x=14$, $y=19$ です。実際に確かめると、$7 \times 14 - 5 \times 19 = 98-95=3$ となり、(*)を満たしています。